電子ブックの著作権・二次利用の取り決め|制作会社が納品前に決めておくこと
本記事は、PDFをめくれるWebカタログに変換するツール「MEKURU(メクル)」の運営チームが執筆しています(2026年8月時点の情報です)。
クライアントのカタログを電子ブックにして納品する——このとき地味に効いてくるのが「権利」の話です。「あとで別の営業資料に使い回していい?」「うちの制作実績として載せていい?」「解約したら消える契約だったの?」。決めずに進めると、納品後にトラブルの火種になります。
この記事では、電子ブックの著作権と二次利用を、制作会社が納品前に契約へ落とし込むための整理をします。難しい法律論ではなく、「どこで線を引き、何を確認しておけば揉めないか」を具体的に示します。
結論
– 権利は「元の中身」と「変換した成果物」を分けて考え、二次利用の範囲を契約書に先に書く
– ツールの利用規約が商用利用・成果物の再販を許すかを必ず確認する(MEKURUの買い切りは商用利用OK)
– クライアント資産として長く使わせるなら、ZIP書き出しで納品しデータを手元に残す
– MEKURU上での買い切り公開は1年間(延長¥3,300/年)。「永年公開」と誤解させない一文を契約に入れる
この記事は、クライアントの電子ブックを制作・納品する制作会社の方に向けて書いています。1冊だけ自分の会社の資料を作りたい方は、先に電子ブックとは?で全体像をつかむのがおすすめです。
まず、電子ブックの「著作権」は2つに分けて考える
電子ブック化でつまずくのは、「著作権」をひとかたまりで考えてしまうからです。実際には、次の2つを分けて扱うと整理できます。
- 元の中身の著作権:カタログの写真・文章・デザインそのもの。これはもともと作った側(多くはクライアント、または撮影者・デザイナー)に帰属します。PDFを電子ブックに変換しても、中身の権利が移るわけではありません。
- 変換した成果物の扱い:PDFをめくれる形(電子ブック)にした「制作物」を、誰が・どこで・いつまで使えるか。ここは法律というより、制作会社とクライアントの契約と、使ったツールの利用規約で決まります。
制作会社がコントロールできるのは主に後者です。だからこそ、契約書と利用規約の2枚を先に押さえておくことが、揉めないための実務になります。
最終的な契約文言は、案件の規模によっては弁護士や行政書士に確認してください。この記事は「何を決めておくべきか」の観点整理です。
契約で先に決めておく3つの取り決め
見積り・発注のタイミングで、次の3点を文面にしておくと後から揉めにくくなります。
取り決め1:二次利用の範囲(どこまで使い回してよいか)
クライアントは納品後、電子ブックを「別の場面でも使いたい」と考えます。想定される二次利用を先に洗い出し、可否を書いておきます。
- 自社サイトへの埋め込み・URL共有・QRコード配布
- 展示会や営業メールでの配布
- 内容の一部を差し替えて別バージョンを作る(改訂)
MEKURUの場合、埋め込み・公開URL・QRコード共有は標準機能で、iframe埋め込みにも対応します。改訂(PDF差し替え)は、サブスクなら無制限、買い切りは同一PDFで6回まで(差異が大きい場合は不可)で、URLは維持されます。この仕様を知っておくと「何回まで直せる契約にするか」を現実的に決められます。
取り決め2:制作実績として公開してよいか
制作会社なら、作った電子ブックを自社の実績ページに載せたいはずです。ここはクライアントの許可が必要な領域なので、契約に一文入れておきます。
ツール側の条件として、MEKURUの有料プラン(買い切り・月額とも)は、ビューアのフッターにあるコピー表記が消え、紙面に透かし(ウォーターマーク)は元々入りません。商用利用もOKなので、ツールのロゴで実績が見劣りする心配はありません。あとは「実績公開の可否」をクライアントと合意できていれば、自社の制作物として堂々と出せます。
取り決め3:公開期間と「解約したらどうなるか」
見落とされがちなのが期間です。「買い切り=永年公開」ではありません。
- MEKURUの買い切りは1冊¥9,900(税込)で、MEKURU上での公開期間は1年間。延長は¥3,300/年です。
- 月額プランで契約する場合はこことは条件が変わり、サブスク(スタンダードなど)は契約中のみ公開され、解約後は公開停止になります。
「1年経ったら消えていた」「解約したら見られなくなった」は、契約に期間を書いていないと起きるトラブルです。いつまで・どのサーバーで見られる状態を保証するのかを、納品条件として明記しておきましょう。文面はシンプルで構いません。
例:「本電子ブックのMEKURU上での公開期間は納品日から1年間とし、以降は延長手続き(年額)を行わない場合、非公開となります。継続表示をご希望の場合は、ZIP書き出しデータをお渡しし、貴社サーバーでの運用に切り替えます。」
このように「いつ止まるか」と「止めたくない場合の代替」をセットで書いておくと、”永年公開”の誤解が生まれません。
クライアント資産にするなら「ZIP書き出しで納品」
期間の不安をいちばんきれいに解消できるのが、ZIP書き出しでの納品です。
MEKURUは電子ブックをZIP形式で書き出せます(自己完結ビューア同梱)。これをクライアントのサーバーや自社サーバーにアップロードすれば、データが手元に残り、クライアントの資産として長期運用できます。クライアントのドメイン配下に置けるので、「制作物を渡してほしい」と言われたときに渡せるものがある、という納品のかたちが作れます。
MEKURUは制作会社・印刷会社が新しい収益メニューとして販売することも認めています(契約縛りなく、クライアント資産として長期運用可)。ただしこれは自分で作った成果物(電子カタログ)を売る「成果物販売型」であって、MEKURUというツールそのものの代理販売(ツール契約を取り次ぐ形)は基本的にできません。「作ったものを納品・販売する」のはOK、「ツールの代理店になる」のは別、と区別しておきましょう。
ここで正直にお伝えすべき制限があります。ZIPを自社サーバーに設置した版では、閲覧パスワード・公開/非公開の切替は使えません(これらはサーバー側の処理が必要なため、MEKURU上で公開したときのみ動作します)。なお、リード獲得とアクセス解析(GA4)は、ブック設定で送信先URLと測定IDを登録すればZIP設置版でも使えます(受け取り先の作り方は製品マニュアルの「リード獲得」のページにまとめています)。ZIP版では、アクセス解析はGoogleアナリティクスなどの外部タグ、閲覧制限はサーバーのBasic認証で代替します。「データを渡して手元に残す」か「MEKURU上で公開して分析・リード獲得まで使う」か——二次利用のゴールから逆算して選ぶのがコツです。
サービスによって「二次利用の条件」は違う
再販や二次利用の可否は、使うツールの利用規約で変わります。契約前に、必ず候補ツールの規約を確認してください。判断の目安になるチェック項目は次の通りです。
- 商用利用が明記されているか(実績公開・クライアント販売の前提)
- 作った成果物を再販・再配布してよいか(ツール自体の代理販売とは別物)
- 外部サーバー・独自ドメインで公開できるか(クライアント資産にできるか)
- 公開期間と解約後の扱い(永年なのか、期間契約なのか)
各サービスで方針が異なります。たとえば、作ったブックデータの再販・再配布を自由としているサービスもあれば、ツール自体の代理販売については記載を設けていないサービスもあります。自社の使い方(誰に納品し、どこで公開し、いつまで保証するか)に照らして、規約の文言を1つずつ突き合わせるのが確実です。ツールごとの機能・料金の並びは電子ブック作成ツールおすすめ比較も参考にしてください。
よくある質問
Q. クライアントに納品した電子ブックを、うちの制作実績として自社サイトに載せてもいいですか?
A. これはツールの規約ではなくクライアントとの合意で決まる部分なので、契約に「制作実績としての公開可否」を明記しておくのが確実です。ツール側の条件としては、MEKURUの有料プランは商用利用OKで、フッターのコピー表記も消え、紙面に透かしは入らないため、自社の制作物として出せます。
Q. 電子カタログ制作を、自社の商品・サービスとして販売していいですか?
A. できます。MEKURUは、制作会社・印刷会社が電子カタログ制作を自社の収益メニューとして提供することを認めています(成果物販売型)。ここでいう販売はそのクライアントのために制作した成果物を指します。なお、あるクライアント向けに作った電子ブックを別のクライアントへ転売できるかは、ツールの規約以前に著作権の一般原則の話です。中身(写真・文章・デザイン)の権利は元の制作物の権利者に残るため、権利者の許諾なしに他社へ渡すことはできません。またMEKURUというツール自体の代理販売(ツール契約を取り次ぐ代理店の形)は基本的にできません。「制作を売る」のはOK、「ツールを売る」のは別、と区別してください。
Q. 買い切りで納品すれば、クライアントは永年見られますか?
A. いいえ。MEKURU上での買い切り公開は1年間で、延長は¥3,300/年です。長く残したい場合はZIPで書き出して自社・顧客のサーバーに設置すれば、データが手元に残り継続表示できます(ただしZIP版では閲覧パスワード・公開/非公開の切替は使えません)。
Q. 元のカタログPDFの著作権は、電子ブックにすると移りますか?
A. 変換によって中身の著作権が移ることはありません。写真・文章・デザインといった元の中身の権利は、もともと作った側に帰属します。誰の素材を使っているか(撮影者・外部デザイナー含む)と、納品後の利用範囲を、契約書で明確にしておきましょう。
まとめ
- 電子ブックの著作権は、元の中身と変換した成果物を分けて考える。変換で中身の権利は移らない
- 制作会社がコントロールできるのは主に成果物側。契約書とツールの利用規約の2枚で線を引く
- 契約に入れるのは「二次利用の範囲」「実績公開の可否」「公開期間と解約後の扱い」の3点
- クライアント資産にするならZIP書き出しで納品。ただしZIP版の制限(閲覧パスワード・公開/非公開の切替)は先に伝える
- MEKURUは商用利用OK・成果物の再販OK。買い切り公開は1年(延長¥3,300/年)で「永年」ではない点を契約に反映する
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※本記事の料金・仕様は各サービスの公式サイト等の一次情報に基づき、2026年8月時点の情報です。契約文言は案件に応じて専門家にご確認ください。