IllustratorからWeb用PDFを書き出す設定|電子ブック化で失敗しない書き出し手順
本記事は、PDFをめくれるWebカタログに変換するツール「MEKURU(メクル)」の運営チームが執筆しています。ソフトの仕様は各公式サイト等の一次情報に基づいて記載しています(2026年8月時点)。
クライアント向けにIllustratorで作ったチラシやカタログを、そのまま「印刷用の設定」でPDFにしてWebに載せると、重すぎて登録できなかったり、余白にトンボが残ったりします。制作会社で数をこなしていると、この書き出し設定のひと手間で毎回つまずきがちです。Web用(画面で読む用)は、印刷用とは分けて設定するのがコツです。
結論
– Web用は印刷用プリセットを使わず、「最小ファイルサイズ」を土台に調整する
– 画像は解像度を下げて圧縮し、カラーはRGB、フォントは埋め込みにする
– トンボ・裁ち落としは外す(画面で読むWeb用には不要)
– 電子ブックに載せるなら、無料は1ファイル300MB/100ページ以内に収める
この記事は、Illustratorのデザインデータを、クライアント向けにWeb(電子ブック)用のPDFとして書き出す制作会社の方に向けて書いています。印刷入稿用のPDFではなく、画面で読ませる・電子ブック化するためのPDFを想定しています。
なぜ印刷用PDFをそのままWebに載せてはいけないのか
Illustratorの書き出しでよく使う「高品質印刷」「PDF/X-1a」「プレス品質」といったプリセットは、名前のとおり印刷所に入稿するための設定です。Webにそのまま載せると、次の3つが起きやすくなります。
- 重い:写真が印刷向けの高解像度(300〜350dpi以上)で埋め込まれ、画面で読むにはオーバースペックになります。ファイルが大きく、電子ブックの登録上限を超えることがあります。
- トンボ・裁ち落としが残る:印刷用プリセットではトンボ(裁断位置の印)や裁ち落としが付き、画面で見ると外側に余白や線が出てしまいます。
- 色が沈む:印刷用データはCMYK(インキの4色)で作られていることが多く、RGB(画面の光の3色)で表示すると、印刷向けの鮮やかさが出づらくなります。
つまりWeb用は、「軽く・トンボなし・RGB」で書き出すのが基本です。以下の3ステップで、そこに寄せていきます。
Web用PDFの書き出し手順(3ステップ)
Illustratorの「別名で保存(複製を保存)」からAdobe PDF形式を選ぶと、書き出しダイアログが開きます。ここで設定するのは主に「プリセット」「圧縮」「トンボと裁ち落とし」の3か所です。
STEP1: Adobe PDFで保存し、土台のプリセットを選ぶ
やること:ファイル→複製を保存(または別名で保存)で、ファイル形式にAdobe PDF(.pdf)を選びます。開いたダイアログの上部「Adobe PDFプリセット」で、土台となるプリセットを選びます。
- 画面:「Adobe PDFを保存」ダイアログの一番上に、プリセットを選ぶプルダウンがあります。
- Web用は「最小ファイルサイズ」を土台にすると、画像が自動でWeb向けの解像度に落ち、余計な情報が省かれます。ここから必要な箇所だけ手で微調整していきます。
- 一般タブの「Illustratorの編集機能を保持」のチェックを外すと、Illustratorで再編集するためのデータが含まれなくなり、ファイルが軽くなります(再編集は元の.aiファイルで行う前提です)。
失敗しやすいポイント:ここで「高品質印刷」や「プレス品質」を選んだまま進めると、後の圧縮やトンボの設定を直しても、重さの根っこが残りやすくなります。まず土台のプリセットから見直してください。
STEP2: 画像の圧縮とカラーを画面向けに調整する
やること:「圧縮」タブで画像の解像度と圧縮を、カラーは書き出す前にドキュメントのカラーモードを確認します。
- 圧縮:圧縮タブの「カラー画像」「グレースケール画像」で、ダウンサンプル(解像度を下げる処理)を有効にし、画面で読む前提なら150ppi前後を目安に落とします。圧縮方式はJPEG、画質は中〜高から、見た目と容量のバランスで選びます。印刷用の300dpi超をそのまま持っておく必要はありません。
- カラー:画面表示ではRGBが自然です。
ファイル→ドキュメントのカラーモードで、Web用のデータはRGBカラーにしておくと、画面での見た目に近い色で書き出せます。印刷用にCMYKで作ったデータを流用するときは、色が変わることがあるので、書き出し後に写真の色みを確認してください。
失敗しやすいポイント:一度に強く圧縮しすぎると、写真がぼやけたり、細い文字がにじんだりします。書き出したあとに等倍〜拡大で確認し、目標サイズに収まる範囲でいちばん軽い圧縮を選んでください。
STEP3: トンボ・裁ち落としを外して書き出す
やること:「トンボと裁ち落とし」タブで、トンボと裁ち落としをすべて外し、フォントの埋め込みを確認して書き出します。
- 画面:「トンボと裁ち落とし」タブで、トンボ(トリムマーク)などのチェックをすべて外し、裁ち落としの数値を0にします。Web用は断裁しないので、これらは不要です。
- フォント:Adobe PDF形式では、フォントは書き出し時に埋め込まれます。埋め込みが有効なら、閲覧者の環境に同じフォントが無くてもレイアウトどおりに表示されます。特殊なフォントを使っているときは、書き出し後に別のPCやスマホで文字化けしていないか確認すると安心です。
- 最後に「PDFを保存」で書き出し、できたファイルの容量を確認します。
失敗しやすいポイント:書き出したPDFは、必ず一度開いて全ページを目視してください。トンボが残っていないか、写真の色や画質、そしてPDF内に貼ったリンク(URL)が生きているかを確認します。設定を変えると、リンクや文字が意図せず崩れることがあります。
複数ページのカタログをアートボードで書き出すとき
Illustratorで複数ページのカタログを作っている場合、ページは「アートボード」で分かれています。Web用PDFに複数ページをまとめて書き出すには、書き出しダイアログの一般タブで「すべて」(または範囲指定)を選びます。1つのアートボードが1ページとしてPDFになります。
- アートボードの並び順が、そのままPDFのページ順になります。順番を入れ替えたいときは、書き出し前にアートボードの番号を整理しておきます。
- ページ数が多い大判のカタログは、それだけファイルも重くなります。ページ数と容量の上限(次のセクション)を先に意識して、STEP2の圧縮を強めに設定しておくと収まりやすくなります。
なお、ページ数の多い冊子はIllustratorよりInDesignで組むのが一般的ですが、本記事はIllustratorのデータをWeb用PDFにする前提で書いています。InDesignからの書き出しでも、印刷用ではなく画面向けのプリセットで書き出す考え方は同じです。
電子ブックに載せる前のチェック(容量・ページ数・リンク)
書き出したWeb用PDFを、めくれる電子ブックにして納品する場合は、載せるツール側の上限に収まっているかを最後に確認します。MEKURUの場合、PDFの上限はプランによって次のとおりです。
| プラン | 1ファイルの上限 | ページ数の上限 |
|---|---|---|
| 無料プラン | 300MB | 100ページ |
| 買い切り(¥9,900/冊・税込) | 1GB | 1,000ページ |
| 月額 スタンダード/プレミアム | 1GB | 1冊1,000ページ |
クライアント案件を1冊ずつ買い切りで納品する使い方なら、上限は1GB・1,000ページです。ここを超えるなら、STEP2の圧縮を見直すか、ページ数の多い案件は月額プラン(1GB・1冊1,000ページまで)での運用を検討します。
リンクについては、Illustratorで文字やボタンに設定したURLをPDFに反映しておけば、MEKURUはPDF内のリンクを元の位置のまま電子ブックに反映します。カタログから商品ページや問い合わせフォームに飛ばす導線を、そのまま電子ブックでも生かせます。書き出し後に、リンクが正しく設定できているかを一度確認しておいてください。
なお買い切り(¥9,900/冊・税込)の公開期間は1年間で、延長は¥3,300/年です。「買い切り=永年公開」ではない点に注意してください。ただしZIPで書き出した電子ブック一式はデータとして手元に残るため、公開期間とは切り離してバックアップできます。
※上記の上限はMEKURUの場合の値です。ほかのツールを使う場合は、それぞれの公式の容量・ページ数の制限を確認してください。
ZIPで書き出して自社・顧客サーバーに置くなら、使えなくなる機能に注意
ここまではWeb用PDFの書き出しの話でしたが、制作会社としてクライアントに「データで納品したい」「クライアントのサーバー(ドメイン)配下に置きたい」場合は、MEKURUで作った電子ブックをZIP(HTML一式)で書き出して設置できます。書き出したデータは手元に残るので、納品物として渡せます。
ただし、このZIPで設置した「設置版」では、MEKURU上で公開したときに使える次の2つの機能が使えません。いずれもサーバー側の処理が必要で、MEKURU上での公開時のみ動作するためです。納品前に、クライアントがこれらを必要とするかを確認しておいてください。
- 閲覧パスワード:パスワードをかけた限定公開
- 公開/非公開の切り替え:管理画面からの公開状態のオン・オフ
設置版でこれらの代わりに使うなら、アクセス解析はGoogleアナリティクスやSearch Consoleなどの外部タグ、閲覧制限はサーバー側のBasic認証で代替します。逆に、これらの機能が要件に入っているなら、ZIP設置ではなく「MEKURU上で公開」で納める判断になります。どちらで納めるかは、書き出す前にクライアントの要件と合わせて決めておくと、作り直しを防げます。
よくある質問
Q. Web用PDFの画像は、何ppiまで下げていいですか?
A. 画面で読む前提なら、150ppi前後まで下げても見た目はほとんど変わりません。印刷用の300dpi超をそのまま残す必要はありません。ただし下げすぎると写真がぼやけるので、書き出し後に等倍〜拡大で確認し、目標の容量に収まる範囲でいちばん軽い設定を選んでください。
Q. トンボや裁ち落としは必ず外すべきですか?
A. 画面で読むWeb用・電子ブック用なら外してください。トンボや裁ち落としは印刷で断裁するための情報で、画面表示では外側の余白や線として見えてしまいます。「トンボと裁ち落とし」タブでトンボのチェックを外し、裁ち落としを0にします。
Q. Illustratorで設定したリンクは電子ブックでも使えますか?
A. PDF内にリンクとして反映されていれば使えます。MEKURUはPDF内のリンクを元の位置のまま電子ブックに反映するため、カタログから外部ページへ飛ばす導線をそのまま生かせます。書き出し後にリンクが生きているか確認しておくと確実です。
Q. ZIPで書き出して納品すると、何かできなくなる機能はありますか?
A. あります。ZIPで設置した「設置版」では、閲覧パスワード・公開/非公開の切替の2つが使えません(サーバー処理が必要なため、MEKURU上公開時のみ動作します)。設置版では、解析はGoogleアナリティクス等の外部タグ、閲覧制限はサーバー側のBasic認証で代替します。
まとめ
IllustratorからWeb用PDFを書き出すときは、印刷用の設定を流用せず、次の手順で「画面で読む用」に寄せます。
- プリセットを選ぶ:印刷用ではなく「最小ファイルサイズ」を土台にする(STEP1)
- 圧縮とカラーを調整:画像を150ppi前後に落とし、カラーはRGBにする(STEP2)
- トンボを外して書き出す:トンボ・裁ち落としを外し、フォントを埋め込んで書き出す(STEP3)
- 上限に収める:電子ブックに載せるなら、無料は300MB/100ページ以内(買い切り・月額は1GB/1,000ページ)に収める
- 納品方法を先に決める:ZIP設置では使えない2つの機能(閲覧パスワード・公開/非公開の切替)が要件にないか、書き出す前に確認する
次にやることは、まず手元のIllustratorデータを「最小ファイルサイズ」プリセットで一度書き出し、容量とページ数が上限(300MBか1GBか)に収まるかを確認することです。そこが決まれば、圧縮をどこまでかけるかも自動的に決まります。
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出典
- MEKURU公式サイト(料金・ファイル容量/ページ数の上限・PDF内リンクの反映・ZIP設置版で使えない機能・制作代行): https://mekuru-pdf.com/
- Illustratorの書き出し設定・プリセットの仕様は、Adobe公式のヘルプ等の一次情報に基づく(2026年8月時点)
- 各サービスの容量・ページ数の制限は、それぞれの公式サイト等の一次情報に基づく(2026年8月時点)