電子ブックを継続収益にする料金メニューの作り方|印刷会社の値付け設計
紙の受注が落ちるなか、電子ブックを新しい商材にしたい——。でも制作費を一度もらって終わりでは、翌年もまた新規案件を探し続けることになります。この記事は、電子ブックを「作って終わり」の単発売上から、毎年入ってくる継続収益(ストック収益)に変える料金メニューの組み方をまとめます。
結論
– メニューは「制作費(初回)+年額保守(毎年)+都度更新(発生時)」の3階層で組む
– 継続収益の芯は②年額保守。公開期間の延長(¥3,300/年・税込)を保守の原価に据える
– 原価(制作費¥9,900・保守の元になる延長¥3,300/年)が読めるので、各階層にいくら乗せるかを原価を起点に検討できる
– 乗せ幅そのものは、自社の工数単価・保守にかかる時間・商圏の受注状況から決める
この記事は、紙の受注が落ちるなかで電子ブックを新しい商材にしたい印刷会社の営業・企画の方に向けて書いています。すでに自社で電子ブックを作れる(または作る予定の)前提で、「いくらで、どう売るか」の値付け設計にしぼって進めます。作り方そのものは別記事にゆずります。
なぜ「制作費だけ」だと収益が積み上がらないのか
電子ブックの受注を制作費だけで組むと、売上は納品した月で完結します。翌月・翌年はまたゼロから新規案件を探すことになり、紙の受注減をそのまま埋めるには件数を追い続けるしかありません。
一方で電子カタログや料金表・商品カタログは、中身が定期的に変わるものが多い商材です。ここに目をつけて「更新と公開の維持は、うちが年額で預かります」と言える体制にすると、制作費に加えて毎年の保守費が乗ります。これが継続収益(ストック収益)です。値付けの設計次第で、同じ1案件が翌年以降も売上を生みます。
継続収益になる料金メニューの3階層
メニューは次の3つに分けて組み立てると、継続収益の芯がはっきりします。
- ① 制作費(初回のみ):PDFから電子ブックへの変換・体裁調整・初回設置の対価。1回きりの収入
- ② 年額保守(毎年):公開の維持・軽微な差し替え・動作確認をまとめた年額。ここが継続収益の芯
- ③ 都度更新(発生時):大きな作り替えや冊数追加が出たときのスポット収入
このうち②を必ずメニューに入れるのがポイントです。②の原価には、MEKURU(メクル)の公開期間の延長(¥3,300/年・税込)がそのまま使えます。買い切り(¥9,900/冊・税込)でつくった電子ブックはMEKURU上の公開期間が1年間で、延長すると翌年も公開が続きます。この延長料を保守費の原価にして、維持・確認の手間分を上乗せすれば、毎年の売上になります。
原価が読めるから値付けの土台ができる
継続収益のメニューは、原価が動くと値付けが崩れます。MEKURUは料金がすべて公開されているので、各階層の原価を先に固定できます(各サービスの公式サイト等の一次情報に基づく/税込)。
| メニューに使うもの | 原価 | 主な条件 | 対応する階層 |
|---|---|---|---|
| 買い切り(1冊) | ¥9,900/冊 | 1,000ページまで・1冊1GBまで・コピー表記なし・商用利用OK・ZIP対応・自社サーバー公開OK | ① 制作費 |
| 公開期間の延長 | ¥3,300/年 | 買い切りの公開期間は1年間。延長で継続 | ② 年額保守 |
| 月額 スタンダード | 月額¥3,850/年額¥38,500 | 冊数無制限・合計5,000ページまで・1冊1,000ページまで・差し替え無制限・コピー表記なし | ②③(更新が多い案件) |
| 制作代行 | 1冊¥30,000〜 | 社内に作る人手がない・1,000ページ/1GB超のPDFを依頼できる | ①③ |
| アップロード代行 | ¥11,000 | 自社サーバーへの設置代行(FTPアップロードのみ) | ①③ |
表のとおり、①制作費の原価は買い切り¥9,900、②年額保守の原価は延長¥3,300/年、と階層ごとに別の数字が土台になります。ここを取り違えると値付けがずれるので、まず「どの階層に、どの原価が対応するか」を固定してから乗せ幅を考えます。
なお、電子ブックを印刷会社が新しい収益メニューとして販売することは認められています(契約縛りなく、クライアントの資産として長期運用できます)。
いくら乗せるかは、原価の外にある3つで決める
原価(¥9,900・¥3,300/年)が示すのは「下限」であって、請求額そのものではありません。原価にいくら乗せるかは、原価の外にある次の3つで決めます。ここは案件や自社の状況で変わるため、金額ではなく判断の軸を示します。
- 自社の工数単価:変換・体裁調整・差し替えにかける自社の作業を、ふだんの制作単価に換算する。②年額保守は「維持の手間 × 自社の時間単価」が下敷きになります
- 保守1件にかかる時間:年に何回・1回あたりどれくらい差し替えや確認が発生するか。頻度が高い案件ほど、②に乗せる手間分を厚くします
- 商圏の受注状況:近隣に同種の受注を取る競合がいるか、紙の付き合いで信頼がすでにあるか。既存の紙客への追加提案なら、価格そのものより「まとめて任せられる安心」で通りやすくなります
ここは正解が1つに決まる部分ではありません。まず原価を固定し、上の3つで乗せ幅を決めて、数件回してから自社の相場観をつくる——この順番が現実的です。原価が公開値で動かないぶん、乗せ幅の検討に集中できるのが利点です。
更新が多い案件はサブスクで運用する
差し替えが頻繁に発生する案件は、買い切り+延長よりサブスク運用のほうが向きます。買い切りの差し替えは同一PDFで6回まで(内容が大きく変わる差し替えは対応できない場合あり)ですが、MEKURUのサブスク(スタンダード=月額¥3,850/年額¥38,500・税込)は差し替え無制限だからです。
更新の多い案件はサブスクの月額/年額を②の原価に置き換え、更新の少ない案件は買い切り+延長+都度更新にする——案件の更新頻度で使い分けるのがわかりやすい分け方です。サブスクの原価も公開値なので、こちらも先に固定できます。
メニューを組むときの注意点
- 「買い切り=永年公開」ではない:MEKURU上の公開期間は1年間です。②年額保守で延長(¥3,300/年)する前提を、初回の提案で必ず伝えます。伝えずに売ると、翌年の保守契約が「後出し」に見えてしまいます
- ZIP設置版で使えなくなる機能がある:クライアントのサーバーにZIPで設置する場合、閲覧パスワード・公開/非公開の切替は使えません(サーバー処理が必要なためMEKURU上公開時のみ)。ZIP版はGA(Google アナリティクス)等の外部タグやBasic認証で代替します。アクセス報告やリード獲得を保守メニューに含めるなら、公開先をMEKURU上にするか、代替手段で足りるかを先に確認します
- サブスクは解約後に公開停止:解約前にZIPでバックアップしておくと安心です。顧客への説明にもこの一文を入れておきます
- 税表記はサービスにより異なります(MEKURUは税込)。見積もりに反映する際は必ず確認を
よくある質問
Q. 継続収益の芯になるのはどのメニューですか?
A. ②の年額保守です。MEKURUの公開期間の延長(¥3,300/年・税込)を原価にして、維持・確認の手間を上乗せすると、毎年の売上になります。
Q. 保守費はいくらに設定すればいいですか?
A. 原価(延長¥3,300/年など)は公開値で固定できますが、請求額は原価の外で決まります。自社の工数単価・保守1件にかかる時間・商圏の受注状況から乗せ幅を決め、数件回して相場観をつくるのが現実的です。
Q. 更新が多い案件はどう組みますか?
A. サブスク(スタンダード=月額¥3,850/年額¥38,500・税込・差し替え無制限)を②の原価に置き換えます。買い切りの差し替えは同一PDF6回まで(内容が大きく変わる場合は不可のことあり)のため、頻繁な更新はサブスク運用が向きます。
Q. アクセス数の報告を保守メニューに入れたいのですが?
A. MEKURU上で公開すれば内蔵のアクセス分析が使えます。クライアントのサーバーにZIPで設置する場合は内蔵分析が使えないため、GA等の外部タグで代替するか、公開先をMEKURU上にします。
まとめ
電子ブックを継続収益にするなら、メニューを「制作費(初回)+年額保守(毎年)+都度更新(発生時)」の3階層で組み、②の年額保守を必ず入れます。継続収益の芯は、MEKURUの公開期間延長(¥3,300/年・税込)を保守の原価に据えること。制作費¥9,900・延長¥3,300/年と階層ごとに原価が読めるので、あとは自社の工数単価・保守の手間・商圏の状況から乗せ幅を決めれば、透明に説明できるメニューになります。更新が多い案件はサブスク(月額¥3,850/年額¥38,500・税込・差し替え無制限)を②の原価に置き換えて使い分けます。
まずは無料プラン(1冊・100ページ・300MBまで/フッターにコピー表記あり)で変換と公開の手触りを確かめ、卸せると判断したら買い切りに切り替えてメニューを組むのが、リスクの少ない始め方です。
継続収益の土台を、まず1契約から。
MEKURUは料金がすべて公開で、原価から保守費を設計できます。無料プランで使い勝手を確認できます。
→ MEKURUを無料ではじめる関連記事
– 電子ブック作成ツールおすすめ比較|メリット・デメリットと選び方
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– 印刷会社が電子ブックを内製して卸すには|原価と利益の考え方
– 電子カタログを買い切りで卸す vs サブスクで卸す
– 電子ブックの保守・更新費はどう決める?制作会社の値付けの考え方
出典一覧
- MEKURU公式サイト — 買い切り(¥9,900/冊・公開期間1年・延長¥3,300/年)・サブスク(スタンダード=月額¥3,850/年額¥38,500・差し替え無制限)・買い切りの差し替え回数・制作代行・アップロード代行・ZIP設置版の制限・解約後の扱い・印刷会社による販売の可否
※本記事の情報は2026年8月時点のものです。料金・仕様は変更される場合があります。掲載内容は各サービスの公式サイト等の一次情報に基づいて記載しています。最新の料金・仕様は各公式サイトでご確認ください。